ADBは、ベトナムの熟練した産業従事者の需要増加に対応するために職業訓練教育制度を改善のサポートを行いました。

課題
職業技能教育(VTE)は、ベトナムのような市場経済移行国の労働需要に対応するには、必要不可欠なものです。1986年にドイモイ(改革という意)と呼ばれた経済改革の後、熟練労働者の需要は著しく増加しました。しかし、以前は供給主導型であったベトナムのVTEシステムは、時代遅れで低品質な制度であり、この需要を満たすことは困難でした。

ドイモイの下、政府は2000年から120万から130万の雇用機会を創出しようとしました。訓練された労働者の割合は、2000年までに10-11%から25%に、2010年までには50%に増加すると予想されていました。プロジェクト査定では、主に農村部に住む労働者の約80%が技能不足で、10%のみが正式な訓練を受けていました。

戦略
ベトナムのVTEシステムを見直すために、ADBは、システムの市場動向を改善するVTE計画のサポートを行いました。内容としては、VTE改革を実践するための一般教育訓練制度(GDVT)の内容の強化や主要な学校のカリキュラムと教材を向上、その備品や設備の配備などが挙げられます。

このサポートには労働市場情報システム(LMIS)の確立やプログラムの認定と技能認証制度の確立、女性と少数派の学生へのアクセス改善、職員養成、コスト回収、民間部門への参入が含まれています。

プロジェクト総費用は8億6290万ドルで、そのうちADBの出資金は3275万ドル、アゼンス・フランセーズ・デ・デポロップメントは1212万ドル、日本国際協力機関は1917万ドル、北欧開発ファンドは636万ドルでした。ベトナム政府は1598万ドルを提供しました。

学び
第三者の評価報告書によると、このプロジェクトから5つの重要な教訓が明らかになりました:
・VTEの管理には、様々なステークホルダー間での広範な調整が必要です。このプロジェクトでは、提供者間の協力と学びの共有はほとんどなく、政府省庁間で技術的、専門的な教育を調整して管理する必要がありました。
・成果を効果的に活用し持続させるには、国家システムと統合する必要があります。
・プロジェクト実施の前提条件として、強力な管理能力が必要です
・市場重視のVTEシステムを確立するには長いプロセスが必要で、業界とのマクロレベルでの繋がりが必要です。VTEの卒業生の大半は、受講したトレーニングと同じ分野ではない仕事に就き、その割合は年間で10%から45%に及びます。
・VTEの質は、学生のより多くの広範な参加によって改善されます。大学の学位はVTEよりも依然として好まれています。VTEは、女性、少数民族、貧困層などの恵まれない生徒には魅力ではないようです。

前進
ADBの独立評価部は、ベトナム政府がVTEシステムの着眼点を改善することや政府省庁間の重複した業務を削減するために、VTE管理を合理化することを推奨しています。

政府はまた、職業訓練と学校機関への投資のバランスを見直し、中等及び高等学校の学生に職業訓練の恩恵を受けるための制度を強化する必要があります。

この報告書では、訓練と技能要件を一致させるためのレッスンの共有や援助制度の調整やVTEシステムと労働市場の調整を行うために、ADBと開発パートナーの協力関係の強化を推奨しています。

(補足)外国人技能実習制度という選択肢

外国人技能実習制度とは、1960年代後半頃から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が評価され、これを原型として1993年に制度化されたもので 、日本が先進国としての役割を果たすべく、最先端の技術・技能をOJTを通じて開発途上国(アジア全般)へ移転を図り、途上国の将来的な経済を担っていくべき「人づくり」を行う国際貢献の為の制度です。

外国人技能実習制度とは日越振興協同組合